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2008年6月19日 (木)

プログラムのわかりにくさ

こないだ京劇「花木蘭~ムーラン」を見に行った時、当然プログラムも買いました。
楽戯舎主催の京劇公演は、さすが京劇を専門に招聘しているところだけあって、プログラムも、原文の中国語と日本語を合わせて見られるようになっていたり、全体的にわかりやすいものが多いのですが、今回は「うーん」と思うところがありました。

まず、主役の李静文が女性だということもあり、俳優の年齢が書かれてなかったことです。李静文はたしか1959年生まれで(張建国さんが58年)、もうすぐ50歳という年齢であの立ち回りをこなすという、中国でも数少ない武旦のスペシャリストなのです。年齢を隠すということは、こうした彼女のすごさも隠すことになってしまいます。どちらを取るかは微妙な問題だと思いますが、年齢は書かなくても生年は書いてもいいんじゃないかなぁと思いますが…

また李静文の年齢の問題もあって、常東さんなどそれ以外の俳優さんの生年も全く書かれてありません。戯曲学校に入学した年で年齢は推測できますが、文革の混乱期もあってはっきりわかるわけではありません。ちなみに常東さんは1967年生まれだそうです。

それよりも今回のプログラムで一番「うーん」と思ったのが、解説の文章、何度も読まないと何が言いたいのかよくわからなかった…。
結局、今回の来日公演の脚本は、もともとの京劇の脚本よりも、30年代から40年代の上海の映画(たぶんいわゆる「老電影」といわれるものだと思うのですが)の「木蘭従軍」によっているということが言いたいのではないかと思うのですが、それがとてもわかりにくかった。その映画が当時の日本で反響を呼んでいたことなどの内容が執筆者の専門らしく、来日公演の「花木蘭」や京劇の「木蘭従軍」とは関係のない情報が入り乱れて書かれ、読者を混乱させます。また「戯曲」という言葉を、日本語の「脚本」という意味ではなく、「中国の伝統劇」(京劇や昆曲のように今行われている伝統劇)、または「中国の古典演劇」(昔の古典戯曲)という意味で使っていたり(両者共にもちろん中国語の用法です。日本語で書かれた中国演劇の本にはありがちなことですが…)、その他に文学史的な用語の間違い等幾つか見受けられますが、それよりも「京劇のことはちゃんと調べていないから自信がないんだろうなぁ」という書き方に見受けられました。映画のことだけ書くとか、絞った方が良かったですね。(と偉そうなことを言っていますが)

京劇の「花木蘭」につながるお芝居は、もともと明代に「雑劇」(明代に制作された雑劇を「明雑劇」といいます。「元曲」とは少し形式が異なり、元曲とはいいません)という形式で書かれた作品があったようなのですが、その脚本はほんの数行しか残っておらず、どんな話だったのかはわからないそうです。解放後の「木蘭従軍」は京劇よりも豫劇のものが有名で、当時映画化されたものが今でも見られます。

「木蘭従軍」が「花木蘭」という名前に変わったのは、ディズニー映画の「ムーラン」の影響が大きいと思うのですが、今の京劇界では、今回来日した李静文以外はこの演目をやらないと言っていいと思います。私もほとんど知りません。

(2008年7月20日加筆訂正)

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