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2011年10月31日 (月)

10月新橋演舞場「芸術祭十月花形歌舞伎」昼の部『一心太助』

『御存知一心太助』とありますが、私は「一心太助」という名前しか知りませんでした。親の世代は青春時代に萬屋錦之介の映画をたくさん見ていると思いますが、私のようなアラフォー世代は、ときどきKBS京都で放送されている当時の映画を見るぐらいです。(あの頃の時代劇の映画はとてもきれいで、たまに見るとおもしろいです)

今回の『一心太助』は、私が想像していた以上に歌舞伎になっていました。9月に松竹座で見た『若き日の信長』が、新劇のようで、歌舞伎らしくないと思ったのですが、それよりは断然歌舞伎らしかった。また昔の映画のほんわかした良さも入っていて、好印象を持ちました。

この演目のよさは何よりも獅童さんにあります。主役がよく見えなければ、いくら脚本がよくても、良い舞台にはなりません。獅童さんが二役をメリハリよく楽しそうに演じておられたのが、好印象でした。

周りの俳優さんも、脇役にも我當さんはじめ、この『一心太助』にしか出ない人達が贅沢なほどに豪華に配役されていました。

我當さんがおられるのとおられないのでは、この舞台の奥行きが全く違ったと思います。さすがです。私は我當さんが出演されているとは知らずに、舞台を見ていたのですが、さわやかな口跡でわかりました。

高麗蔵さんの御台所、出番は短いですが存在感たっぷり。

吉弥さんのこの配役、もったいない。

猿弥さんと右近さんの老け役、楽しそう。特に右近さんのくだけた老け役が、引き出しの多さを印象づけます。『一心太助』での獅童さんと猿弥さん、右近さんのからみは、夜の部の『小栗判官』と対になっているように見えました。

お仲は亀治郞さんのはまり役です。私はこういう亀ちゃんが大好きです。

でもこの役があるので、夜の部の小栗判官の不出来さ加減が、余計に不思議に思えます。夫婦役の女はできても、男はなぜできない?

門之助さんの柳生十兵衛、かっこよかったですね。私が小さいときは時代劇でよく柳生十兵衛を見ました。

(最近日本のテレビで日本の時代劇ドラマがなくて、韓国のドラマばかりだという現状に、日本人はもうそろそろおかしいと思った方がいいように思うのです。うちの両親も毎晩韓国の時代劇を見ている…。私は韓国ドラマにも好きなものもありますが、今の日本は多すぎる! 水戸黄門もなくなるし、切ないです。中国のドラマも最近質が落ちたと言われますが、少し前なら良い物はありますよ)

閑話休題。この舞台はいろんな場所が出てきますが、それぞれに登場する人達がその空気感をうまく出しているのが見て取れました。場内の家臣の陰謀渦巻くはりつめた空気、家光の護衛の柳生十兵衛や、「又さん」達の剣豪の空気、魚市場の仲買人達の魚のにおいがしそうな空気、はたきを振り回しているお玉ちゃんやおばあさんなど長屋の空気、それぞれの、どれが崩れても作品を壊してしまうと思うのですが、重要な役でない俳優さん達も一緒になって一つの新しい作品を作っている、楽しさが舞台に現れていたと思います。

二時間と意外に長い上演時間でしたが、長いとは感じませんでした。

ぜひ再演して欲しいですね。

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