昨日のNHKEテレ放送「文楽『桂川連理柵』」
昨日、7月7日にNHKEテレの「古典芸能への招待」で文楽「桂川連理柵」が放送されました。やっぱりいいですねぇ。脚本に変にリアリティがあって、今の世の中にも通じる、男と女の感情が描かれているように思えて、しみじみと感じ入ってしまいました。
今、特に橋下市長のネガティブキャンペーンによって、文楽がいかにも悪者であるかのような報道が、在阪のテレビ局であっても行われている現状を、とても苦しく思います。マスコミが作り上げてきた橋下市長という存在に、逆らおうとしない在阪テレビ局の体質、というか本質が、私には理解できません。
予算を出す、出さないという問題ではなく、文楽という芸能を否定しているような雰囲気すら感じられること、そのことに私は違和感を感じます。
橋下市長がいうことがすべて間違っているわけではないと思います。お金に余裕がないのであれば、たとえばオーケストラへの補助をカットするのは仕方が無いと思います。なぜならオーケストラは大阪独自のものではなく、また京都にも兵庫にも楽団はあり、楽団員の再就職も、厳しいかもしれませんが、門戸が閉ざされているわけではないと思います。
ただ文楽に関しては別問題です。文楽は唯一無二の、大阪のものだからです。たしかに東京の盛況ぶりに比べて、大阪の観客動員は差がありすぎます。しかし、十年以上前に比べれば、文楽の大阪での観客動員はこの数年格段に増えているのも事実です。これは声を大にしていいたいと思います。
私はかねてから、文楽はもう少し東京や首都圏での公演数を増やせばどうかと思っていました。中央での評価はやはり大きいのです。しかし、それと大阪市が文楽を支援しないこととは別問題です。
文楽が衰退すれば、特に歌舞伎のように、文楽へ依拠している割合の多い芸能も必ず衰退します。スーパー歌舞伎の創始者、二代目猿翁さんも、文楽がお好きなことは有名で、自身の勉強会にはたびたび文楽座の方々と共演しています。私も一度、吉田屋を見に行ったことがあります。
もっと歌舞伎界からも、文楽へのエールを送ってほしいと思うのは私だけなのでしょうか。
以下、NHKのHPより、昨日の番組のクレジット。
番組名 | 古典芸能への招待 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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放送日 | 7月7日(土)15:00~17:00 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
内容 | 文楽「桂川連理柵」
(平成24年4月 大阪・国立文楽劇場にて収録) |
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コメント
紅娘さん、お久し振りです。在阪のテレビ局までがそう伝えてますか。事情の分からない九州モンにはその意、参考になりました。(はしもとさんのツイートを「権力監視」の点からフォローしてみるのが最善ですが市長名で出された「公文書」を見るだけで稚拙だ、と思いましたので・・・。)
歌舞伎界からの見地、これも参考になりました。ただ、私はどっかにも書きましたが、東京へ移るとなると、今更松竹や都が面倒を見ることは無く、国費云々、と言う話になります。「国費」と言うものは東京電力の例を出すまでも無く、責任をないがしろにする魔物ですから、京都の吉田のフランス総領事館に文楽座の皆さんが駆け込むしかない、と冗談抜きに思います。
投稿: しろくま | 2012年7月 9日 (月) 21時08分
しろくまさん、こんばんは。コメントありがとうございました。
私もしっかりニュースを見ているわけではないのですが、たまたま見かけた在阪のニュースで、どうやらそういう、矛先が変わっていることを感じて、藤十郎さん等他の方々のブログでも確かめたら、やっぱりそのいやな感じはあたっているように感じます。
東京公演を増やすことは、本拠地を東京に移すこととは異なります。本拠地は大阪であるべきだと思います。
投稿: 紅娘 | 2012年7月14日 (土) 01時01分