観劇記(日本)

2017年1月18日 (水)

大阪松竹座 寿初春大歌舞伎

成人の日に松竹座に行って来ました。十日戎の前の日だったので道頓堀には久しぶりに日本人が多かったです。

昼の部を見たのですが、一番は「新口村」 格が違うというか、必見です。上手く言えませんが、すべてにおいて、この舞台は見ないと、という感じでした。仁左衛門さんは言うに及ばず、孝太郎さんが最近きれいになったように思います。

「吉例寿曽我」は、工藤祐経の奥方が出て来たり、黒衣の他に雪景色の時の「白衣」(というのでしょうか)が一緒に登場したり、朝比奈が主役だったりと、普段の曽我物とは随分違う印象で、これはこれで面白く拝見しました。新橋之助くんが良かったです。

「石切梶原」は、お昼を食べた後ということもあって、かなり寝てしまいました…。お昼御飯はほどほどに…

時間ができれば夜の勧進帳も見たいと思っています。

以下、配役の詳細を引用します。

http://www.kabuki-bito.jp/theaters/osaka/play/496

中村橋之助改め 八代目中村芝翫 襲名披露

  中村国生改め 四代目中村橋之助     

  中村宗生改め 三代目中村福之助 襲名披露

  中村宜生改め 四代目中村歌之助     

大阪松竹座新築開場二十周年記念

壽初春大歌舞伎


平成29年1月2日(月・休)~26日(木)

昼の部

今井豊茂 補綴

一、吉例寿曽我(きちれいことぶきそが)

鴫立澤対面の場

工藤奥方梛の葉
曽我箱王
曽我一万
小林朝比奈
腰元久須美
腰元宇佐美
近江小藤太
八幡三郎
 秀太郎
生改め福之助
生改め歌之助
生改め橋之助
芝喜松改め
 
 
 

二、梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)

鶴ヶ岡八幡社頭の場

梶原平三
大庭三郎
奴菊平

俣野五郎
川島八平
山口十郎
剣菱呑助
六郎太夫
橋之助改め
 鴈治郎
 進之介
 児太郎
生改め橋之助
 松之助
 橘三郎
 彌十郎
 

恋飛脚大和往来

三、新口村(にのくちむら)

亀屋忠兵衛/父親孫右衛門
万歳
才造
忠三郎女房
傾城梅川
 仁左衛門
 
 
 竹三郎
 孝太郎

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2016年6月 6日 (月)

2016年6月5日「琉球舞踊と組踊」 京都造形大春秋座公演

2年ぶりにまた京都で琉球舞踊が見られるというのは、京都に住むものにとって本当に幸せなことだと思います。

今回でたしか三回目の春秋座での公演で、私は以前のような感激して胸が一杯になるような感動は、今回はありませんでしたが、宮城能鳳という方は、やはりすごいです。きっと今後伝説になっていく方ではないかと思いました。

寝ている子どもを見つめながら、子どもを置いて天に帰るのをためらう場面があるのですが、天女はじっとしているのです。地謡によって物語は進行していき、天女も台詞を歌いますが、その間、本当にずっと、じっとしているのです。でも悲しみやためらい、そして母の愛、すべてが伝わるのです。そして美しい声!

二人の子どもを演じていた子達もたくさんの台詞を頑張っていました。

今回気になったことをいくつか…

第二部の「組踊」では字幕は出ましたが、第一部の舞踊のところで、全く字幕が出ませんでした。とても悲しかった。

春秋座は舞台が低く、前列に座ると演者さんの足もとがとてもよく見えます。南座とか松竹座の1階では足もとが全く見えないので3階で見た方が足もとがよく見えますが、春秋座は目の前で足もとが見えるので、本当におもしろいです。

でもこれは一長一短で、前に背の高い人が座ると舞台が見えなくなります。頭と頭の間から舞台をのぞき込む感じ。前に通路を挟んだ5列目が取れればいいのですが、そんなにうまくは行きません。今日の私の席は不幸なことに前列が数人男性で、開演前は「最悪…」と思いましたが、開場すれば頭と頭の間からきちんと見えました。今度はもう少し後ろの席を買おうと思います。

以下、公演の内容です。

京都造形芸術大学 春秋座 「琉球舞踊と組踊」公演

http://k-pac.org/?p=121

第一部 琉球舞踊(解説・嘉数道彦)

老人踊「かぎやで風」(かじゃでぃふう) 嘉手苅林一・儀保政彦

女踊「天川」(あまかー) 嘉手苅幸代
雑踊「加那よー」(かなよー) 山城亜矢乃
==
二才踊「高平良万歳」(たかでーらまんざい) 佐辺良和

雑踊「谷茶前」(たんちゃめー) 新垣悟・山城亜矢乃


第二部 組踊

『銘苅子』(めかるしー) 作:玉城朝薫

【出演】
銘苅子 嘉手苅林一
天女  宮城能鳳(人間国宝)
おめなり  古堅聖尚
おめけり  宮城隆海
首里の御使 眞境名正憲
供一    新垣悟
供二    儀保政彦
きゃうちゃこ持  佐辺良和

【地謡】
歌・三線 西江喜春(人間国宝) 玉城和樹 大城貴幸
箏 池間北斗  笛 宮城英夫
胡弓 又吉真也  太鼓 比嘉聰

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2016年3月16日 (水)

スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」松竹座初日の本音の感想

松竹座の「ワンピース」公演はもう中日を過ぎたようですし、チケットの売り上げもいいでしょうから、もうそろそろ私の本音を書いてもいいかなと思って、少し書こうと思います。

「ワンピース」、悪くはなかったんです。でも良くもなかった。なぜか。

一つには、新鮮味が感じられなかったこと。

これまでのスーパー歌舞伎の作劇に基づいて書かれた脚本というのがありありとわかって、新しくないんです。新しかったのは照明かな。それはとても良かった。

もう一つは主人公のルフィがルフィに見えず、四代目猿之助でしかないこと。

他の配役の人はそれなりに、原作のキャラを彷彿とさせるような役作りをしていたように思えました。原作を知らない私でも絵を見れば原作のキャラの雰囲気はなんとなくつかめます。でも、スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」にはルフィがいないのです。

スーパー歌舞伎には、三代目猿之助の圧倒的な存在感が魅力の一つでした。「ワンピース」の四代目猿之助は、主役というよりも演出として、舞台をトータルにまとめるという意識の方が強いのではないかと、感じてしまいました。

そもそも、歌舞伎の舞台は、「オールドカマーランド」だと思います(個人的見解)。「ニューカマーランド」の場面は、やっている演者さんは思い切ってされていたのかもしれませんが、普段の歌舞伎をそれなりに見慣れている私のような観客からすると、これもあまり新鮮味がなくて、「ミナミにいそうな人達」という感じを持ってしまいました。

総じて、演劇において、やはり脚本の力というのはとても強いのだと改めて思いました。「ワンピース」という新しい素材をもってきても、私には「ヤマトタケル」「新三国志」「新水滸伝」と同じ系統の作品だと見えてしまいました。

ところで以前『新水滸伝』の感想を書いたときに、『趙氏孤児』という中国の古典戯曲がおもしろいという話題をしたと思うのですが、とうとうその日本語訳が出版されました!

『中国古典名劇選』 (後藤裕也,西川芳樹,林雅清 編訳)

東方書店 2016年03月 4,536円

http://www.toho-shoten.co.jp/toho-web/search/detail?id=4497216038&bookType=jp

この中に『趙氏孤児』の訳も入っています。私は手に入れましたが、まだ読んでいません… 表紙のデザインが良い感じですよ。

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2016年3月 2日 (水)

松竹座 スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』初日

スーパー歌舞伎Ⅱの第二作になる『ワンピース』が大阪松竹座と博多座で上演されます。3月1日の初日に行って来ました。

私は『ワンピース』の漫画は読んだことがありません。電車に乗っていて隣のサラリーマンが読んでいるのをちらっと見たことがある程度です。アニメもたまたまテレビのチャンネルを変えていたらやっていて、ちょっと見てみても何だかよくわからないからチャンネルを変えるという感じです。

こんな状態なので、ほぼ知らないといっても過言ではないと思います。

今日の舞台の感想は、一言でいうと「スーパー歌舞伎の定石に基づいて作られた舞台」というものです。もっと現代劇かと思ったら、しっかりとしたスーパー歌舞伎でした。

第1幕で、登場人物のキャラと物語を描き、第2幕で物語の発展と、踊りや宙乗りなどの仕掛けを派手に入れる、第3幕で、ぐっと芝居を入れて人物の感情を描いて、物語も終盤に向かうという感じです。私はすべてのスーパー歌舞伎を見たわけではありませんが、私がみたものはだいたいこんな感じで作られているものが、スーパー歌舞伎らしいと思った舞台でした。

そして、スーパー歌舞伎Ⅱも二作目になって、スーパー歌舞伎に戻ったのかという印象もあります。これも一つの「型」なので、戻ることは決して悪いことではありません。前回の『空ヲ刻ム者』がテレビドラマを舞台化したような作りの脚本に思えて、おもしろくないという印象を、私は個人的に持ったので、それに比べると、おもしろかったし、歌舞伎らしさ、スーパー歌舞伎らしさもありました。

ただ私は『ワンピース』を知らないので、その世界観をほとんど知りませんが、テレビを見た感じからすると、スーパー歌舞伎によせた部分と原作によせた部分とが混在するのではないかと思います。もちろんこれは当然のことではありますが。それがどうなっているのかがわからない私自身がもどかしい…

初日の客席は、春休みの3月ということもあって、歌舞伎ファンよりもワンピースファンが多かったように思えました。ファンとその保護者という組合わせも多かったように見えました。グッズ販売で長蛇の列ができていたのですが、私は職場に御菓子を、と並んでいたら、私の前に並んでいた、見た目中学生らしき子が大量にグッズを買い込んでいました。

こういう、それまで歌舞伎とは縁の無かった人達が、チケットを買って歌舞伎を見に来てくれるというのは、歌舞伎の未来にとって本当に良いことです。そして歓声を上げて見てくれる。これもスーパー歌舞伎も大きな目的の一つだと思いますので、それは見事に達成されています。

私の京劇ファンの友人で『ワンピース』も好きな北京在住の中国人が、新橋で『ワンピース』を見て、今度も有休を取ってまた『ワンピース』を見に来たいと計画を立てています。ビザが緩和されてから、中国人が日本に気軽に来られるようになったことは皆さんもご存じだと思いますが、歌舞伎を見るために何回も来日している人も何人もいるんです。もうそういう時代になって来ています。松竹も英語だけでなく中国語が出来るスタッフを各劇場に正社員で常駐させるべきです。

猿之助さんが三役です。私はやっぱり女形の猿之助さんが好きです。

市川右近さんと尾上右近くんが、おそらく初めての共演ではないでしょうか。お二人とも、とても存在感を発揮しています。右近くんの二役は両方ともとても良いです。サディちゃんがとてもかわいい。宙乗りもあります。右近さんは登場すると一気に歌舞伎色が出て、舞台がぐっと引き締まります。

巳之助くんも、ちょっと主役を食っていますね。素晴らしい。

歌舞伎の舞台にしては、私は初めて見るぐらいCGを使っていますが、それが原作の劇画的なイメージをうまく表していて、とても効果的で、素晴らしいと思いました。3階から見ていてもとてもわかりやすいものでした。照明も効果的でしたので、1階の前の方でみるよりも印象が変わるかも知れません。

舞台装置も、かなりスポンサーが入ったからか、お金をかけている感がありました。

主題歌は、AIの「ハピネス」みたいな感じの歌で、舞台の世界観をかなり鮮明に表しているのではないかと思いました。音楽ってとても重要ですね。「歌舞伎」ですから。

チケットは残り少ないようです。迷っておられる方はお早めに。戻りのチケットが手に入るといいですね。

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2015年12月16日 (水)

2015年京都南座顔見世昼の部に行って来ました

顔見世の昼の部に行って来ました。

『基盤太平記』

忠臣蔵の山科閑居の場面です。扇雀さんの大石内蔵助ということで興味がありました。中盤あたりからお芝居のテンポがよくなっておもしろくなりました。

『吉野山』

藤十郎さんと橋之助さんですが、たまたまこの日だけだったのかもしれませんが、良くなかった。こんなに良くない『吉野山』は初めてです。二人が別々に踊っているようにみえました。

『河庄』

『曽根崎心中』は好きなのですが、『河庄』はどうしても好きになれません。まだ小さい子どもが二人もいるというのに、この男は芸者に入れあげて「一緒に死のう」と証文をさんざん書かせたあげく、奥さんからの手紙を読んだ芸者に愛想をつかされ、兄にさとされて、思い切るとと言っても、まだ未練たらたら。見ている方はイライラします。大半が女性の観客は彼に共感できるのでしょうか?

私は鴈治郎さんは、どちらかというと好きな俳優さんです。時蔵さんも好きです。でもきっと誰が演じても私はこの演目を好きになれないでしょう。昭和だったら見ていられたかもしれませんが、平成も二十七年になり、子どもを産んでも女性が働きつづける時代になった時代には、この戯曲が描こうとしている世界は合わないのではないかと思います。

『土蜘』

松羽目ものだったのですね… それはともかく、さすがに四演目目ともなると疲れます。途中で寝ちゃった… 寝てしまったからかわかりませんが、仁左衛門さんにしては印象が薄いと思いました。

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2015年11月20日 (金)

2015年11月 錦秋文楽公演

今日は仕事が午前中で終わったので、第一部の「桜鍔恨鮫鞘」と「団子売」、第二部の「玉藻前曦袂」を見て来ました。

最後の「化粧殺生石」は【七変化】の妙が楽しめます。文楽に興味はあるけど、平日は仕事で…とか、お時間の無い方は、最後だけでも幕見で御覧になることをおすすめします! 8時10分すぎからで、500円で十分楽しめますよ!

国立文楽劇場 《錦秋文楽公演》 幕見席のご案内

http://www.ntj.jac.go.jp/topics/bunraku/27/4829.html

第一部の最初は見ていないので、わかりませんが、「桜鍔恨鮫鞘」良かったです。お母さんが娘との別れにぽろぽろ涙を流しているのがわかる、やっぱり簑助さんです。

「団子売」は玉男さんと勘十郎さんの贅沢な組合わせ。

第二部の「玉藻前曦袂」は、文楽に馴染みがある人もない人も十分楽しめる演目です。今回は文楽をしっかり見るのは初めてという後輩と一緒に行ったのですが、彼女はおもしろかった、良かったと言って、とても喜んでくれました。

初心者向けというわけではないのですが、文楽のいろんな要素が詰まった構成になっているように思います。スペクタクルな場面もあり、舞台のセットがきれいな場面もあり、しっかり聞かせる部分もあり、そして何より勘十郎さんの「芸」が盛りだくさんになっています。新旧のイケメン大夫、咲寿大夫さんと咲甫大夫さんもしっかり語っています。個人的には睦大夫が良かったと思います。

11月はこれまで、古典的などっしりした演目が多かったように思いますが、こういういろんな要素がつまった演目も、とてもいいと思います。

とにかく、文楽に興味のある方は8時過ぎに「化粧殺生石」だけでも見に行ってみてください。文楽の魅力がコンパクトにわかります。

http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/bunraku/2015/11179.html

平成27年度(第70回)文化庁芸術祭主催
錦秋文楽公演

第1部 午前11時開演
碁太平記白石噺(ごたいへいきしらいしばなし)
 田植の段/浅草雷門の段/新吉原揚屋の段

桜鍔恨鮫鞘(さくらつばうらみのさめざや)
 鰻谷の段

団子売(だんごうり)


第2部 午後4時開演
玉藻前曦袂(たまものまえあさひのたもと)
 清水寺の段/道春館の段/神泉苑の段/
 廊下の段/訴訟の段/祈りの段/化粧殺生石

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2015年10月11日 (日)

大阪松竹座歌舞伎NEXT「阿弖流為」

いのうえ歌舞伎には、これまで興味はありましたが、見に行く機会がありませんでした。

今回いのうえ歌舞伎「アテルイ」が、歌舞伎「阿弖流為」となって上演されています。 松竹座の公演を見にいきました。うっかりチケットの発売日を逃して危うく3階席が買えなくなるところでした。

印象は、スーパー歌舞伎の「ヤマトタケル」や「新水滸伝」が、“現代劇らしい歌舞伎”だとすると、 この「阿弖流為」は“歌舞伎らしい現代劇”だと感じました。

その原因は台詞回しにあります。勘九郎さんのセリフが、歌舞伎の演出を取り入れている場面以外はすべて現代劇の台詞回しだったことが大きいように思います。それで勘九郎さんの田村麻呂がアニメに出てくるキャラに見えるのです。

勘九郎さんや七之助さん、染五郎さんのセリフがときどき聞き取れなくなりました。特に染五郎さんのセリフがときどきマイクが入るような音になって、それも聞き取りずらさの原因となり、「何言ってるかわからへん」セリフが何個もありました。

一つの舞台としては悪くはありません。見に行く前はもっとスーパー歌舞伎に似ているのかと想像していましたが、似ていません。敢えて探せば第一幕よりも第二幕が盛り上がるところぐらいです。 物語はちょっとアニメ的です。国内の少数民族問題に触れるところなどは、京劇の「瀘水彝山」に似ていると感じました(絶対に私だけの感想ですが…)

スーパー歌舞伎とは、特に歌舞伎らしくないところが似ていないのです。現代劇の中に、歌舞伎らしい演出を所々に放り込んでいるという感じで、それがこなれていないのです。私のように歌舞伎を見なれた人からすると、ちょっと慣れないところがありました。 また所々に、ふつうのお芝居のように、「突っ込む」ところがあり、それ自体は悪くないのですが、シリアスな場面のすぐ後にやられるので慣れませんでした。スーパー歌舞伎だと、歌舞伎の演出の場面は歌舞伎で統一され、現代劇の演出の場面はしばらく現代劇の演出で統一されているのですが、「阿弖流為」はそれが無秩序にゴチャゴチャになっているのです。立ち回りの場面でもそんな感じでした。

この舞台は染五郎さんと勘九郎さんと七之助さんを見に行く芝居だと思いますが、私は個人的には萬次郎さんがダントツで一押しです。台詞回しがふつうのお芝居でありながら、歌舞伎でもある、素晴らしいです。 萬次郎さんは歌舞伎の舞台では、あまり目立たない役しか見たことがないのですが、 この役はとても目立つ役で、萬次郎さんが普段発揮できない実力を思う存分発揮されているのではないかと感じました。 萬次郎さんがこんなに目立っておられて、キラキラしておられるように見えました。新悟さんも良かったです。

七之助さんも台詞にはいろいろ工夫されているように聞こえました。最初はなぜ一番出だしの時の声が中性的な声で、その後女性の声にという風に、声の質が変わるのか、不思議に思っていましたが、後の方でその理由がわかりました。でもわかりにくいです。

役者さん以外では、照明がきれいでした。三階で見ていたので、特に床に映る照明の効果がよく見えました。

両花道が設置され、花道を使う場面がかなりあります。三階からはよく見えませんでしたが…

音響の音が大きすぎて、少し気持ち悪いと感じました。わざわざ舞台の上の両脇にスピーカーを設置していましたが、新橋演舞場ではあの音量でいいのでしょうが、松竹座のような中規模の、しかも音響の良い劇場ではまったく必要はないと思います。

「歌舞伎NEXT」と題していますが、最近新作の歌舞伎が増えていることもあってか、さほど新しさは感じませんでした。題材的に「ヤマトタケル」的なところはどうしてもありますが、「ヤマトタケル」のように主役が突出しているというわけではありません。もっと染五郎さんがかっこよく見えるかと思っていたのですが、意外にそうではありませんでした。かっこわるいわけではないのですが、なんというか、今日たまたま調子が悪かったのかも知れませんし、よくわかりません。立ち回りのクルクル回る速さに目を奪われる一方で、阿弖流為という人物の掘り下げ方が弱いのかもしれません。

以下、歌舞伎美人より抜粋

http://www.kabuki-bito.jp/theaters/osaka/2015/10/post_43.html

阿弖流為(あてるい)

阿弖流為

市川 染五郎

坂上田村麻呂利仁

中村 勘九郎

立烏帽子/鈴鹿

中村 七之助

阿毛斗

坂東 新 悟

飛連通

大谷 廣太郎

翔連通

中村 鶴 松

佐渡馬黒縄

市村 橘太郎

無碍随鏡

澤村 宗之助

蛮甲

片岡 亀 蔵

御霊御前

市村 萬次郎

藤原稀継

坂東 彌十郎

 

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2015年8月13日 (木)

2015年8月12日『新水滸伝』@大阪新歌舞伎座

大阪に暑い梁山泊が戻ってきました。

一昨年に興奮して観劇した記憶がまだ新しい私は、2015年度版の『新水滸伝』をとても楽しみにしておりました。

今日はお盆の割引を利用して1階後方の席で見ました。でもちゃっかり花道横の席で、豪傑達が駆け抜けて行く度に、爽快な風を浴びる臨場感たっぷりで観劇しました。

お盆だからか、中国ものだからかはわかりませんが、客席はいつもの歌舞伎とは比較にならないぐらい男性の方が多かったです。ご夫婦で来られている方がほとんどでしたが。

まだ初日があけて間もなく、また詳しいことは一昨年のブログにかなり書いたので、今日は大まかな感想を…

一昨年は襲名披露公演があり、二十一世紀歌舞伎組がどうなるか不安な気持ちを抱いての観劇でした。今年は襲名披露公演が一段落しての二十一世紀歌舞伎組としての公演で、観劇する立場としても、落ち着いて観劇することができたように思います。

私の個人的な感覚では、一昨年のような興奮は影を潜め、安定、安心して見ることができました。特に右近さんと笑三郎さんの安定感は際立っていたように思います。そして舞台全体にみなぎるこの一体感。この「気」。これが私が知る、おもだかの舞台なのです。先日亡くなられた先輩に教えていただいた、おもだかの魅力がいっぱいつまった舞台です。いつもおもだかの舞台を見ると、その感想を先輩にメールしていたのですが、今日はもうメールすることはできません。舞台の笑也さんは相変わらずお美しく可憐でした。それをもう伝えることはできません。その現実を徐々に受け止めなければいけないのかもしれません。

カーテンコールには今日もなんと猿翁さんが出て下さいました。しかも3回も!カーテンコールで正真正銘の親分が登場されて、二十一世紀歌舞伎組の『新水滸伝』は完結するのです。カーテンコールで舞台と客席で「気」を交換し合う、そんな珍しい体験をしました。これは舞台と客席の距離が近い、新歌舞伎座だからこそ出来ることなのかもしれません。私も自分が出せる限りの「気」を舞台に送りました。

今回敢えて一昨年で見た席と異なる場所の席を買いました。さまざまな舞台の仕掛けの効果があって、この場所からはこう見えるのか、という発見もかなりありました。前回見た方は是非違う位置からの観劇をお勧めします。

『新水滸伝』は水滸伝でありながら、水滸伝の物語ではありません。しかし、本質的に水滸伝なのだと思います。それが猿翁(三代目猿之助)さんが作り上げてきたおもだかの舞台の本質につながるのかもしれません。

歌舞伎の舞台においては、これからますます貴重になるであろう、これほどの一体感を感じることのできる舞台を、大阪で見ることの出来る幸せを、関西人としてかみしめています。千穐楽にも観劇します。

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2015年7月12日 (日)

松竹座「七月大歌舞伎」行ってきました

11日の土曜日に昼夜と見て来ました。

「鈴ヶ森」はどうも好きになれません。この演目のおもしろさが私にはさっぱりわかりません。暗い舞台は、3階からだと人物がよく見れないので、見る気をそがれ、雲助さんたちの薄汚さも見る気をそがれ、頑張ってみていても、立ち回りもどうもきれいじゃない。文楽的なおちゃらけた仕掛けを見せるなら、もっとおちゃらけた方がいいような気がするのですが、おちゃらけぶりが足りないから見ている方もどうものれない。それでもういいや寝ちゃえ、ってなって寝てしまった。

「雷船頭」は、時蔵さんきれいだなと思って見ていたのですが、そのうちに眠気が…

「ぢいさんばあさん」はさすがに寝ませんでした。これぐらいの時間で物語の展開もおもしろい作品だとちょうど良いです。しかしこの作品は脚本が本当によく書けていると思います。何よりも、歌舞伎ファンの大多数を占めるマダム層が理解できるあらすじで、近代的な劇的な展開の妙も備えていて、新作の歌舞伎を作る上でお手本とすべき作品だと思いました。

以前、仁左衛門さんと玉三郎さんのを見たことがありますが、時蔵さんとのコンビはアツアツ度は弱まりますが、より自然な雰囲気ととらえることも出来ます。これは好き好きです。私はどちらも好きです。

隼人、米吉の若夫婦が好演です。米吉さんが以前から注目されていることは知っていましたが、これほど良いとは思いもよりませんでした。

夜の部は「絵本合邦衢」の通しです。たしか少し前に国立劇場で通しをやった時に見に行きたいなと思ったのですが行けずじまいだったので、今回松竹座での公演を楽しみにしていました。

とことん悪い男が主役の舞台で、こういう演目があってもいいなと思いました。特に夏の芝居には良いのではと思います。私は不覚にも前半で寝てしまいましたが、絶対見ておかないといけないとは思いませんが、見ておいて損はないと思いました。

夜の部から仁左衛門さんだけの舞台写真が発売されていました。

大阪松竹座 松竹創業120周年 関西・歌舞伎を愛する会 第二十四回 七月大歌舞伎

平成27年7月3日(金)~27日(月)

昼の部 一、御存鈴ヶ森

幡随院長兵衛 中村 錦之助
雲助東海の勘蔵 澤村 由次郎
同 北海の熊六 嵐  橘三郎
飛脚早助 片岡 松之助
白井権八 片岡 孝太郎

二、雷船頭(かみなりせんどう)

女船頭 中村 時 蔵

三、ぢいさんばあさん

美濃部伊織 片岡 仁左衛門
伊織妻るん 中村 時 蔵
宮重久右衛門 中村 錦之助
石井民之進 市川 男女蔵
久弥妻きく 中村 米 吉
宮重久弥 中村 隼 人
山田恵助 澤村 由次郎
戸谷主税 市川 高麗蔵
柳原小兵衛 市村 家 橘
下嶋甚右衛門 中村 歌 六

夜の部 通し狂言 絵本合法衢 立場の太平次

序 幕 第一場 多賀家水門口の場     
第二場 多賀領鷹野の場     
第三場 多賀家陣屋の場
二幕目 第一場 四条河原の場     
第二場 今出川道具屋の場     
第三場 妙覚寺裏手の場
三幕目 第一場 相州倉狩峠の場     
第二場 倉狩峠一つ家の場     
第三場 倉狩峠古宮の場     
第四場 元の一つ家の場
大 詰 第一場 合法庵室の場     
第二場 閻魔堂の場

左枝大学之助/立場の太平次 片岡 仁左衛門
うんざりお松/弥十郎妻皐月 中村 時 蔵
田代屋与兵衛 中村 錦之助
田代屋娘お亀 片岡 孝太郎
松浦玄蕃 市川 男女蔵
お米 中村 米 吉
孫七 中村 隼 人
番頭伝三 片岡 松之助
関口多九郎 嵐  橘三郎
升法印 澤村 由次郎
田代屋後家おりよ 市川 高麗蔵
佐五右衛門 市村 家 橘
高橋瀬左衛門/高橋弥十郎 中村 歌 六
太平次女房お道 片岡 秀太郎

 

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2015年4月17日 (金)

南座「市川海老蔵特別舞踊公演」初日

南座の「市川海老蔵特別舞踊公演」初日に行ってきました。

初日だったこともあり、全体的にまだ間の取り方がうまくいっていないというか、ためる部分が少ないように感じましたが、これまで見て来た舞台と役者さんの組み合わせが違うので、また違った雰囲気でおもしろかったです。後半にいくにつれてどんどん良くなるのでしょう。

「吉野山」

吉弥さんの登場の時の花道での品のある姿。ため息が出ます。旅姿に合った衣装だと思いました。それでいてあの品。「この方が御曹司出身であれば、もっと活躍していただろうな」と、ついつい思ってしまいます。こういうところを、歌舞伎界は本気で改革しなければ女形の芸は廃れる一方になりますぞ。

忠信の九團次さん。スッポンから出て来たところで、役者ぶりが大きくなったと感じました。舞踊の方は、もう少し、ほんの0、数秒、ためるようになるといいと思うのですが、公演中に空気がつかめる余裕が出てくるといいですね。

静御前は忠信と一緒になると、一人で義経を思っていた頃とは、気持ちが変わってきます。この時の二人の関係が、役者さんでかなり印象が変わるのがこの「吉野山」のおもしろいところで、今回は、たとえるなら、大学の先輩と後輩という感じに見えました。3回生の女子の先輩が、入って来たばかりの男子の1回生にいろいろ教えてあげる感じで、でもサークルのイベントとかでハイキングに行くと、1回生といえども男子の方が有利だから、3回生の先輩の荷物を持ってあげたりして助けてあげる感じ、かな? 新入生は先輩に気があるんだけど、新入生だしそんなこと絶対に言えなくて、でもときどき妄想している…… こんなこと考えるの私ぐらいだろうなぁ。舞踊は観客もいろいろ妄想できておもしろいですね。

「口上」

最初の口上が聞きたいということもあり、初日に行きました。

海老蔵さん、九團次さんの他に、市蔵さんがお話になりました。

後ろに新蔵さん、新十郎さん、福太郎くん(たぶんこの3人)が控えていました。

成田屋一門が新メンバーを加えて新しい出発、という雰囲気でした。九團次さんの緊張を海老蔵さんが和らげるという感じで、本当に今後が楽しみです。

「身替座禅」

團十郎さんの玉の井が、とても印象に残っています。市蔵さんも、特に前半で、もう少し間を持った方がいいように思いました。

海老蔵さんもやっぱり前半が、改善の余地ありでした。後半は良かったですね。私は最近、すごく気持ちよくお酒を飲む方と、ご一緒したことがあったのですが、花子を思い出す右京を見て、その方のことを思い出してしまいました。

市川海老蔵特別舞踊公演 平成27年4月17日(金)~25日(土)

一、道行初音旅 吉野山    

佐藤忠信実は源九郎狐 道行改め九團次

静御前     吉 弥

二、口上 四代目市川九團次 襲名披露           

海老蔵    道行改め九團次

三、新古演劇十種の内 身替座禅

山蔭右京     海老蔵

太郎冠者 道行改め九團次

侍女千枝     廣 松

同 小枝     京 蔵

奥方玉の井     市 蔵

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